
カギは社会人と地方、そして環境づくり。eスポーツの文化定着に向けて〜NTT東日本 Solution Forum 2022レポート
こんにちは!LOCAL SHARE CLUB編集部です。
2022年1月24日〜28日にかけて開催された、NTT東日本が主催したオンラインイベント「NTT東日本 Solution Forum 2022 ONLINE」。その中で行われたセッション「eスポーツの現在の課題と2022年の方向性について」についての後編記事となります。
今回は、前編記事で提示されたeスポーツの課題に対して、株式会社NTT e-Sportsが取り組んでいることについての内容となります。登壇されたのは、前編に引き続き、同社代表取締役副社長であり、茨城県eスポーツアドバイザーや超教育協会のフェロー等を務める影澤潤一氏です。
前編記事はこちら

eスポーツ発信のハブとなるeXeField Akiba(エグゼフィールド アキバ)

まずは、NTT e-Sportsがどのような事業を行っているかについての紹介がなされました。大きくは上表にある5つを事業ドメインとして展開しています。
施設事業とは、具体的には2020年8月に秋葉原UDXの4階にオープンした交流施設「eXeField Akiba(エグゼフィールド アキバ)」の運営となります。

こちらは「ICT×eスポーツ」をコンセプトに開設されたもので、最先端のICTと最新の機材を備え、人と人、地域と地域をつなげる場を提供することで、幅広い層へのeスポーツ文化の定着とコミュニティの形成、そしてeスポーツ関連技術の発展を目指して運営されています。
またイベントソリューション事業としては、自治体や企業など、eスポーツにまつわるさまざまなイベント案件に応えられるような体制を整備。2021年に行われた群馬県主催の「U19eスポーツ選手権 2021」などは、その支援例の一つとなります。

最近では、パッケージ商材として「eスポーツ × 社内レクパッケージ」というものも提供を開始。コロナ禍において社内のインターナルコミュニケーションが疎遠になってしまっている課題や、これまで実施していた社内レクがなかなか実現できなくなった背景に鑑みて、eスポーツを社内レクへと活用するという考えで提供しているものです。
企画から運営、配信までをワンパッケージにして、NTTe-Sportが丸ごとサポートする点が大きな特徴となっています。
影澤「コロナ禍の現在では、右下のエグゼフィールド アキバでの開催風景のように、集まれる人は集まって、集まれない人は遠隔参加するような形で実施しています」

今後目指していきたい「リモートプロダクション」
ここで、少し技術的な話になります。NTTe-Sportsでは、eスポーツをはじめとする様々なイベントを成功させるためにNTTグループがもつ先端技術を活用しています。
その基地となっているのが先述したエグゼフィールド アキバとなるのですが、その際の映像伝送やライブプロダクションなど、データ等の流れをまとめたものが以下となります。

まずは、エグゼフィールド アキバ内の音声や映像を全てIP化して、エグゼフィールド アキバと遠隔地のイベント会場をつなげます。その上で、遠隔地の映像をエグゼフィールド アキバに送ってもらい、そのままライブプロダクションとして編集。それを映像出力して、YouTubeなどの映像等プラットフォームで配信するという流れになります。
影澤
「ステップ2では、エンコーダーおよびデコーダーを活用しての映像伝送とIPプロダクションを掛け合わせていましたが、今後はフルIPでエンコーダーもデコーダーも使わずに、NTTグループがもつフレッツ網を活用したリモートプロダクションの実現を行っていく予定です。
この場合、現存のフレッツ活用はもちろん、今後NTTグループとしての展開を考えているIOWN(アイオン)構想とも連動して実現していきたいと考えています」
※IOWN構想とは
Innovative Optical and Wireless Networkの略。革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想。2024年の仕様確定、2030年の実現をめざして、研究開発を始めている状況。

かつてゲーマーだった大人たちをeスポーツの世界へ

さて、前編ではeスポーツ業界が抱える課題として「収益構造」と「ファンの獲得」だと記載しました。収益構造は抜本的なビジネスモデルの再検討が必要だとして、ファンの主体という観点では、一体誰がターゲットとなるのでしょうか。
これについて影澤氏は「ゲームを体験してきて育ってきた人たち」だと強調します。
「僕もそうでしたが、かつてゲーマーとして楽しんでいた大人たち。そういう人たちに帰ってきていただいて、いかにゲームを楽しみながらeスポーツとして取り組むかの仕組みづくりを進めていきます」
そして、そのために同社が立ち上げたのが、社会人向けeスポーツリーグ「B2eLEAGUE」です。
ここでいう社会人とは、「プロではない、学生ではない」の2点を満たす人のことを指しています。参加資格についての詳細(2022年1月時点)は以下となります。
①職に就いている者(給料、賃金、報酬、その他の経常的な収入を目的とする仕事に就いている者)。
②ただし、以下の者を除く。
・経常的な収入を得る仕事から既に退職した者。
・主婦、または主夫。
・プロおよび運営がプロと認める者(JeSU 公認プロライセンスを保有している者、主たる収入を競技活動から得ている者、その他競技シーンでの活動の主としている者など)。
※勤労を生活の主としている者で、大学、短期大学、専修各種学校において夜間授業を行う学部、通信による教育を行う学部に在籍、および、高等学校において定時制・通信制の課程を履修している者は参加可能とする。

上図のピラミッドにもあるとおり、現時点でゲームを楽しんでいる「アマチュアプレイヤー」を社会人の中核と捉え、そこに対してイベントはもとより継続的に取り組める環境や状況を作るべく、NTTグループアセットを活用して「B2eLEAGUE」を推進していくというわけです。
eスポーツを日本の文化として定着させるにあたっては、まずは社会人での経験人数を増やしていき、そこから社会人以外の学生や高齢者に展開したり、各地域で仕組みを活用してもらって、自立自走できるような状況を実現するという、そんな社会作りの流れを想定していると影澤氏は強調します。

影澤「まずは社会人の中で仲間を作るのが第一目標ですね。もちろん、会社の理解があれば、会社の名前を背負って参加していただくのもOKです。弊社では日本でのeスポーツ文化の定着を目指しているので、それに向けたコミュニティを作っていったり、メーカーをはじめとする日本企業も盛り上げてまいりたいと考えています」
***
以上、今回はeスポーツ × 地域活性の領域でのNTTe-Sportsの取り組みについてお伝えしました。まとめますと、2022年は業界として正念場であり、文化としての定着のカギは社会人と地方で、継続して自立自走できる環境づくりが大切だということです。
本記事でレポートしているセッションについて、動画がこちらからどうぞ!
本記事をご覧になって「eスポーツの活用」に興味を持たれた方は、ぜひNTTeSportsに相談してみてください。
***
Local Share Clubではこのような、地域に寄り添ったICTプロジェクトを多数ご紹介しているので、ぜひnoteのフォローをお願いします。
今回の内容について、ぜひ皆さまからのご意見もお待ちしております!
***
株式会社NTTe-Sports:https://www.ntte-sports.co.jp/